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ドクターMの家造りのすすめ

伝統工法、無垢の木、竹子舞、漆喰、いぶし瓦の家の主より

風通しのいい家にするためにやるべきこと。

高気密高断熱の家を志向する方が増えているような気がしますが、何を求めているのでしょうか。まさか冷暖房不要の家なんて求めていませんよね。冷暖房の効率を高めたいのでしょうか。高断熱志向は理解できますが、高気密ってどうなのでしょうね。

極論すれば空気が入れ替わらないということです。2003年からシックハウス症候群対策として24時間換気装置の設置が義務付けられました。強制的に換気しなければならないほど高気密住宅が増えてきた証でしょう。強制的に換気しないと問題がある家。私はとても息苦しく感じます。

我が家を建てるに当たって、夏の暑さと冬の寒さにどのように対応するか、当然考えました。私が暮らす街は豪雪地帯ではないので、冬の寒さは暖房機器を使えばなんとかなりそうです。しかし夏の暑さはなるべく冷房に頼らないように計画しました。暑さ対策の一つは土壁による調湿、もう一つは通風です。今回は通風の役割を担う窓についてお話します。

fine-ventilation

 

窓の役割

窓の役割を考えてみますと

  • 通風
  • 採光
  • 人の出入り
  • 外の景色を見る
  • デザイン

などが挙げられます。

 

また、窓を設置することにより落ちてしまう性能を補完する機能があります。

  • 遮熱、断熱
  • 防音
  • 視線カット

などが一例です。

 

風通しをよくするためにやるべきこと

今回は風通しに着目します。その際に考えるべきこと、やるべきことを挙げてみます。

① 風が吹く方向を調べる

窓を開けたら風が通る・・・当たり前のようですが、風が吹いてくる方向に窓が無ければ風は通りません。風通しをよくするために窓をどこに設置するかを決めるためには、その土地の風向きの傾向を調べておく必要があります。

土地が決まったら、現地調査が可能になります。しかし、何度も現地に通って、年間を通した風向きの傾向を調べるのは困難でしょう。

例えば以下のリンクにある気象庁のデータベースを利用すれば、現地に通わずとも風向きの傾向を調べることができます。

www.data.jma.go.jp

 

上記リンクからこのような画面が開きます。「地点を選ぶ」から風向きを知りたい場所を選択します。都道府県を選択すると更に細かい場所を選択できます。

Database-Japan-Meteorological-Agency-1



次に「項目を選ぶ」からデータの種類→時別値、項目→風向・風速を選択します。

Database-Japan-Meteorological-Agency-2

 

そして、「期間を選ぶ」から連続した期間で表示する→風向きを知りたい年月日を選択します。

Database-Japan-Meteorological-Agency-3

 

最後に「CSVファイルをダウンロード」からデータをダウンロードします。画面右上に選択済みのデータ量が表示されており、一度にダウンロードできるデータ量を制限しているようです。数年分の期間を選択するとデータ量の上限を超えてしまうので、数年分のデータを取得したい場合は、数回に分けて1年分毎にダウンロードしてください。

 

ダウンロードしたCSVを確認すると、年月日時、風速、風向などが指定した期間分出力されています。風向は16分割されており、北、北北東、北東、東北東、東・・・のように出力されています。風が無い場合は静穏となっています。品質情報や均質番号はデータに異常がないかどうかのフラグなのでとりあえず無視します。

Wind-direction_csv1


しかし、このデータを見ても風向きがどのような傾向なのか判断できません。今知りたいのは、「季節ごとにどの風向きが多いのか」なので、データを少し加工します。

具体的には1年分のデータから、四半期毎の風向きの頻度分布表(どの風向きが何回あるか)を以下の手順で作ります。

CSVデータに1年分のデータがありますが、その横に頻度をカウントするための場所を用意します。今回はI列とJ列に場所を用意しました。1-3月というラベルの下に16分割された風向きと静穏という文字を記入します。

Wind-direction_csv2

J列7行目(北の右側)には「=COUNTIF($D$7:$D$2165,$I7)」と入力しています。これはExcel関数のCOUNTIFを用いて、指定範囲指定した風向が何回あるかを数えています。

指定範囲は$D$7:$D$2165で、1月から3月までの風向データを指定しています。指定した風向は$I7で、北を指定しています。計算結果は300となっています。つまり、1月から3月までに北の風が300回あったということが分かります。今回は1時間ごとにデータを出力しているので、3か月の間に300時間は北の風だったと言い換えることができます。

同様にして、1月から3月の他の風向の頻度も(J列7行目をコピペして)計算すると、全方位の風向の頻度表が完成します。4月から6月の場合は指定範囲を$D$7:$D$2165から$D$2166:$D$4349のように変更してください。以上から四半期毎の風向の頻度分布表が完成します。

 

最後にこれをグラフ化して分かりやすくします。Excelの「挿入」-「その他のグラフ」-「レーダー」を使って、頻度分布表をグラフ化すると、このように可視化できます(静穏は除く)。使用したデータは私の実家の1月から3月の風向きです。ほぼ北風であることが分かります。(管理人はMicrosoft Office 2010を使用)

Frequency-distribution-wind-direction_hometown

 

同様にして我が家の風向きデータを過去3年分入手して分析しました。我が家の2013年の四半期毎の風向きは以下のようになっています。なお、違う年の結果を見ても傾向は同じでした。

 

1月から3月の風向き

西から北西の風が多いことが分かります。先ほど示した実家(我が家から600kmくらい離れています)の風向きと比較すると少し傾向が違うことが分かります。

Frequency-distribution-wind-direction_myhouse_1-3

 

4月から6月の風向き

西から北西に加えて東から南東の風も多いことが分かります。

 

Frequency-distribution-wind-direction_myhouse_4-6

 

7月から9月の風向き

特に窓を開けて過ごすことが多い夏場の風向きも西から北西に加えて東から南東の風が多いですね。

Frequency-distribution-wind-direction_myhouse_7-9

 

10月から12月の風向き

西から北西の風が多いことが分かります。

Frequency-distribution-wind-direction_myhouse_10-12

 

以上から東西の風を取り込めるように計画すれば、春から秋にかけて風通しが良い日が多くなりそうなことが分かりました。

我が家を建てる前は社宅に住んでいましたが、社宅と我が家は徒歩1分の近所でした。ですので、このような分析をせずとも体感的に夏場は東西の風が多いことが分かっていました。しかし、長期間住んでいない場所でもこの方法によってある程度の傾向を掴むことができそうです。

また、気象庁のサイトには風向き以外にも膨大なデータがあります。気になることがあれば参考にしてみてください。

② 窓をなるべく向い合せに設置

風を通すためには風を入れる窓と出す窓をセットで用意する必要があります。東からの風が多いからと言って東側のみに窓を設置しても風通しは期待できません。向かい側の西側にも窓を設置しましょう。でもなかなか難しいですよね。これを実現しようとすると少なくとも部屋の壁2面は外に接していなければなりません。

しかし、向い合せの窓は同じ部屋で完結する必要はありません。部屋のドアを開けた先に窓があってもいいのです。廊下のずっと先に窓があってもいいのです。とにかく窓が向かい合っていて、間に障壁が無いという条件を満たせば風は抜けます。

例えば1階と2階の窓が向かい合っていて、間に障壁が無ければ風は抜けます。そして完全に向かい合っていなくても、例えば東と南に窓がある場合でも、風向きによっては風は抜けます。

間取りや窓配置を検討する際は、風の通り道を考えながら進めることが重要です。

③ 開けっ放しにしやすい窓

我が家は買い物などで留守にする際も窓を開けっ放しにしていることが多いです。防犯上の不安はありますが、本気の泥棒さんには何をしても無力だと割り切っています。ガラスを割られたり、窓枠ごと外されるリスクまで考慮すると対処には限界があります。

開けっ放しにしても隙間から侵入できず、雨も凌ぎやすい窓を探した結果、横すべり出し窓がヒットしました。室内側から室外側に押し出して開ける窓です。10cmくらい押し出すとロックがかかってそれ以上は開けません。ある操作をすれば窓が地面と水平になるくらいまで開きます。

Horizontal-outward-projecting-window

出典:YKK AP

 

我が家にはこの窓を多用しています。サイズは色々ですが15か所に使っています。少し開けた程度でも風は通っていくものです。

ではここで問題です。横すべり出し窓の網戸はどうなっているでしょうか?私もかなりの期間謎でした。窓を外に押し出して開けるので、外側に網戸を設置できません。

 

正解は・・・内側に網戸を設置します。網戸は上下2分割タイプと1枚タイプがあります。前者は下側の網戸を上にスライドすると網戸が開きます。開いたまま固定できます。後者は窓を外に押し出すのと反対の動きで室内側に引くようにして開きます。こちらは網戸を開いたまま固定することができません。片手で網戸を開いた状態にして、反対の手で窓を開閉して、最後に網戸を閉めるという感じになります。若干使い勝手が悪いので、我が家の網戸はほとんど上下2分割タイプにしました。

 

④ 窓を開けたその先に障害が無いか調べる

風を通すために窓を開けます。その際、障害になりそうなものが無いか事前に確認しておきましょう。窓から外を見ると何がありますか?場合によっては窓の位置を再考する必要がありそうです。

 

  • 見たくないものが無いか(隣家の窓、トイレ、風呂など)
  • 外から家の中を見られないか(隣家の窓、道路など)
  • 外の臭いが家の中に入らないか(ゴミ集積場、隣家の換気扇など)

 

⑤ 土地に対する家の配置

風や日差しの条件を少しでも有利にするため、土地に対する家の配置を調整することも一案です。ほとんどの家は土地に対して平行・直角に家を配置すると思いますが、これは必須条件ではありません。

このような配置も可能です。少しだけ回転させることで、風通しがよくなったり、日差しを受けやすくなったりします。また、窓を開けた際の障害を回避することもできます。

Placement-house

 

(おまけ)一年中全館空調の家は快適なのか

ツーバーフォーで高気密高断熱を謳っている某住宅メーカーの家にお住いの上司。24時間全館空調を備えており、玄関を入った瞬間から夏は涼しく、冬は暖かいそうです。

お邪魔したところ、確かに温度は快適です。でも、ほぼ年中窓を開けないとのこと。最近よく咳き込んでいるのはシックハウス症候群じゃないのかなと勝手に心配しています。

話は逸れますが、その全館空調をコントロールする機械を2Fのホールに面した専用スペースに置いています。そしてホールは家の中心にあり、吹き抜けになっています。ワイワイ話しながら食事している間は気にならなかったですが、夜静かになると空調の可動音が耳障りなのだそうです。

それで私になんとかできないかと相談されたのですが・・・
先生、これを後の祭りと言います。