家の構造、工法にはどのようなものがあるでしょうか。国交省の建築着工統計データからトレンドを確認。

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家造り

国内シェアの確認

国内では、どんな構造の家がどのくらい建てられているかを調べてみます。国交省の「建築着工統計調査」というデータがあります。このデータは国交省のウェブサイトから誰でも無料でダウンロードできます。「建築着工統計調査」の中の「年度計 平成27年度分」の「【住宅】利用関係別 構造別 建て方別 都道府県別 戸数」というデータには、全国の新設住宅の戸数と床面積の合計を、以下の分類毎に整理しています。

  • 構造別(木造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他)
  • 建て方別(一戸建、長屋建、共同住宅)
  • 利用関係別(持家、貸家、給与住宅、分譲住宅)

ここでは、一戸建持家に着目して新設戸数の履歴(平成22年度~27年度)を構造別に見てみます。

number of new housing starts_structural type

全国の一戸建・持家の新設戸数は年間約30万戸、その内、木造が約25万戸(約80%)、鉄骨が約5万戸(約15%)という状況が分かります。「木造」の定義は、”建物の主な構造部分のうち、柱・はりなどの骨組みが木造のもの”となっており、木造軸組み工法や木造枠組壁工法(ツーバイフォー)が含まれます。日本人は木造住宅が大好きですね。なお、平成25年は消費税増税前の駆け込みで新設戸数が伸びています。我が家はH25完工なので、偶然にも世の中の流れに乗っていたようです。

それでは、シェア上位の木造(軸組、ツーバイフォー)と鉄骨造について、工法の特徴などを挙げてみます。

木造軸組工法(在来工法)

wooden structure

木の柱や梁などを組み上げて家の骨組みが作られる工法です。古民家などに見られるように、昔は太い柱や梁を特殊な継手で繋いでいました(伝統工法)。伝統工法の原形は竪穴式住居に見られるとのことで、まさに日本の有史以来使われている工法と言えます。

現在は昔に比べると細い木で組み上げて、筋交や合板などで補強する工法が主流です(在来工法)。また、継手部分は事前に工場で機械加工(プレカット)する場合が多く、金物を使って木と木を繋ぎます。在来工法は、伝統工法を簡略化しながらも、現代の技術を適用して発達してきた工法で、現在日本で広く採用されいます。伝統工法も在来工法も木造軸組工法ですが、通常は木造軸組構造と言えば在来工法を指します。

伝統工法と在来工法の違いは、基礎と骨組みの接合方法にも見られます。伝統工法の骨組みは、基礎の上に乗っているだけです。在来工法の骨組みは、基礎とボルト接合されます。例えば、地震などから力を受けた場合、伝統工法は基礎と骨組みがずれることと継手部分も含めて木がしなることで力を受け流します(柔構造)。在来工法は基礎と骨組みがずれることはなく、木のしなりは金物の継手部分で固定されるため、力を受け流さずに抵抗します(剛構造)。

在来工法のメリット

  • 間取りや窓の位置、屋根の形など設計の自由度が高い
  • リフォームにも対応しやすい
  • プレカットであれば大工の腕による品質のばらつきが小さい
  • シェアNo.1で対応可能な業者が多い
  • 屋根ができるまでの工期が短い(現場で骨組みが雨に晒されるリスクが低い)

在来工法のデメリット

  • 金物や筋交などの補強部材が抜けると強度が一気に低下(手抜き工事に要注意)
  • 気密性を確保したい場合は工夫が必要
  • 大空間を作るには工夫が必要
  • 構造部材をあらわし(見せる)にする場合、金物も見えてしまう
  • 3階建て以上や複雑な形状には不向き

在来工法に対応可能なメーカー例

  • 積水ハウス
  • 住友林業
  • 一条工務店
  • 大和ハウス
  • タマホーム

木造枠組壁工法(ツーバイフォー)

木の枠に合板を張ったパネルを組み立てて家の構造が作られる工法です。骨組みはありません。ツーバイフォーなどと呼ばれますが、その由来は枠を構成する木の断面寸法の型式名が204(ツーバイフォー)だからです。ツーバイフォーの枠材の断面寸法は乾燥製材済の状態で38mmx89mmです。この工法は、アメリカ生まれの工法で、彼らの合理的思想が色濃く反映されています。つまり、誰でも簡単に同じように施工できる工法となっています。決められた間隔や場所に釘を打ちつけてパネル同士を固定します。木の枠に合板を張ると中に空洞ができるので、そこに断熱材を仕込みます。

国交省の「住宅経済関係データ」というデータの「ツーバイフォー新設住宅着工戸数の推移」を見てみます。上述の通り、全国の一戸建・持家の新設戸数は年間約30万戸、その内、木造が約25万戸(約80%)でした。その内、約3万戸がツーバーフォーだということが分かります。

number of new housing starts_two-by-four method

ツーバイフォーのメリット

  • 寸法や材質が規格で決まっており、大量生産されるため、コストが抑えられる
  • 大工の腕による品質のばらつきが小さい
  • 耐震性が高い
  • 気密性が高い

ツーバイフォーのデメリット

  • パネルを接合する釘が錆びると強度的に致命傷(現場での雨養生に要注意)
  • 枠の木材に指定されているSPF材は水に弱い(現場での雨養生に要注意)
  • 屋根ができるまでの工期が長い(現場での雨養生に要注意)
  • 壁で強度を持たせるので、間取りの自由度が低く、大開口は難しい
  • 日本での歴史は浅く、高温多湿環境での長期信頼性は未検証

ツーバイフォーに対応可能なメーカーの例

  • 三井ホーム
  • ミサワホーム
  • 一条工務店
  • 住友林業
  • セルコホーム

鉄骨組工法(プレハブ)

木造軸組工法の鉄バージョンと言いましょうか、骨組みが鉄骨で作られる工法です。鉄骨を構成する鋼材の厚さが6mm未満の場合は軽量鉄骨と呼び、6mm以上の場合は重量鉄骨と呼びます。一般的な住宅で用いられるのは軽量鉄骨が多いようです。また、骨組みの接合(溶接)は事前に工場で済ませておくと同時に、ある程度の大きさ(ユニット)まで家を組み立てておきます。現場ではユニット同士をボルト接合で組み立てます。プレハブはPrefabricated house(前もって組み立てられた家)を省略した”Prefab”が由来です。なので、木造でも前もって組み立てられれば、プレハブと呼べますが、ここでは(軽量&重量)鉄骨のプレハブということにします。

プレハブのメリット

  • 工場生産のため精度や品質が安定
  • 大工の腕による品質のばらつきが小さい

プレハブのデメリット

  • 敷地までユニットを運ぶための”ある程度広い道路”が必要
  • 工場での大量生産が前提なので、規格外への対応は困難
  • 鉄は熱を伝導しやすいので、断熱への特別配慮が必要
  • 防錆への特別配慮が必要
  • 火事などの高温環境での強度低下が著しい

プレハブに対応可能なメーカーの例

  • 大和ハウス工業
  • 積水ハウス
  • セキスイハイム
  • パナホーム
  • 旭化成ホームズ(へーベルハウス)

まとめ

家の構造、工法について、国内シェアと代表的な工法の特徴を紹介しました。国内シェアをざっくり分析すると、全国の一戸建・持家の新設戸数は年間約30万戸で、その内、木造軸組工法(在来工法)が約22万戸(約73%)、木造枠組壁工法(ツーバイフォー)が約3万戸(約10%)、鉄骨組工法(プレハブ)が約5万戸(約17%)であることが分かりました。メリット、デメリットを総合的に評価して、私は木造軸組工法を推します。あなたは如何でしょうか?

我が家の構造、工法の詳細は下記リンクで確認できます。

ちなみに、私の実家はプレハブの軽量鉄骨、妹は在来工法とツーバイフォーのコンビ、弟はツーバイフォーの家を建てているので、訪問する度にそれぞれの特徴を観察しています笑

本記事で参考にした国交省のウェブサイトは下記リンクになります。

www.mlit.go.jp

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